以前の記事[中級から学ぶ日本語]新語の扱いで、
私は、少し漢字についてもふれましたが、この教科書の漢字の扱いは、次のようになっています。
漢字も『初歩』を基準とし、本文下欄外に新出漢字を示した。*を付した漢字は、既出漢字の
読み替えである。「新しい言葉」に掲げた語句の漢字については、そのすべてに振りがなを付
けたが、本文に関しては、新出漢字、ならびに、新しい読み方に限って振りがなが付されてい
る。
ここで言う『初歩』とは、国際交流基金の『日本語初歩』という初級教科書のことです。
わたしは、前の投稿では、新出漢字だけを欄外にかかげることが、読み書き同時習修を強
いることにつながらないかと懸念したのですが、よく考えてみると、この教科書の措置を利用
して、いろんな活用の仕方ができるかもしれません。
考えてみると、本文下欄外にある漢字は、新出漢字なので、それを含む語には、二つの可
能性しかありません。
- 『日本語初歩』に出てきた言葉に使われている漢字だが、『日本語初歩』では、仮名書き
されていたもの
- 『日本語初歩』に出てこなかった単語で、この教科書の新出語である言葉
ですから、漢字だけを単位にせずに単語を教える一環として漢字を組み込んでいくことは、可
能です。
たとえば、上の(1)に相当する単語は、漢字の書き取りを含め、「書く」指導をする。
そして、(2)に相当する単語に関しては、単語としても漢字(または、漢字の読み)として
も新しいのですから、単語の説明をするときに、造語成分としての漢字にもふれ、参考語・類
語として、同じ漢字の読みを使った言葉を提示しておくという具合にです。
このようにすれば、新しい言葉については、「読む」指導、知っている言葉については
「書く」指導を分けて行うことができるはずです。「読む」方に関して言えば、「新出語」の
リストにはふりがなが振ってあるので、単語を覚えるとともに、その漢字表記の「読み」をマ
スターすることを心がければ、自力で学習していく手だては、いちおう整っていると言えます。
また、こうすれば、当然のことながら、重要な漢字の読みは本文の中で繰り返し現れるのです
から、朗読させることがすなわち、「読み」の復習とテストをかねるというわけです。
問題は、「書く」方の指導ですが、これには、上の(2)の部分の抽出と、その部分が少
なくなったときの補充、課ごとの分量の配分などをしなければなりません。
この教科書で教えていたときには、そういう発想が出てこなかったのが残念です。みなさ
んは、このわたしの意見を、どう思いますか?
[1998/04/21 11:14:09]