こんにちは。中村 元と申します。
さて、皆さんは日本語の教科書で使われている「書体(フォント)」に
ついて気になったことはありませんか?
特に初級の教科書で使われている書体についてです。
私が東京の某日本語学校に勤務している頃(10年〜6年前)の話です。
当時の学生達の中には、自国である程度日本語を勉強した方々が
けっこうまじっていました。(特に中国から来た人達)
その人達の中に、かなりくせのある仮名の書き方をする人達が少なからず
いて、例えば、ひらがなの「さ」を「ち」の左右反転型(WEBブラウザの
フォントの設定によっては、画面でご覧になっているのと同じ型)、
同様に「き」の下部を「つ」の左右反転型で書くのです。いわゆる
『明朝体』などに見られる形です。
そのように書く原因をいろいろと考えてみたのですが、どうやらテキスト
で使われている文字をそのまま真似をして書いているようなのですね。
(表記を学ぶための「かな教材」はそれほど多くはないようです)
独学でやっていた人達にとっては、(テレビ講座で勉強した人を除くと)
唯一のたよりが印刷教材でしょうから、それを真似して書くというのも
当然といえば当然なのですが、中国で出版された日本語教材(日本で
出版された教材の海賊版も多い)のほとんどは『明朝体』を採用して
いるのですね。私たちの手がき(楷書)により近い書体(これには異論も
あるでしょうが)である『教科書体』を採用しているものはほとんどない
のです。
教科書の書体・字形をまねるというのは、日本語を独学している人達の
多くにあてはまることだ思います。ことによったら、仮名の時間を
すっとばした (・すっぽかした)日本語クラスの学生さんにもあてはまる
かもしれません。
ためしに、今私の手元にある「初級教科書」の書体を見てみると、
『明朝体』を採用しているものは日本で出版された教科書の中にも
かなり存在していて、
・国際学友会日本語学校の「日本語」→ 明朝体のみ
・The Japan Times「Basic Functional Japanese」→ 明朝体のみ
(ただし、これはローマ字主体のテキスト)
・光村図書出版/人民教育出版「標準日本語」→ 明朝体のみ
・国際交流基金の「日本語初歩」
→ 本文が教科書体、文の型と練習部が明朝体
・学研の「Japanese For Today」 → 本文が教科書体、読解部が明朝体
・「新日本語の基礎」→ 教科書体
・東京外国語大学附属日本語学校の「初級日本語」→ 教科書体
・「文化初級日本語」→ 教科書体
・学研の「Japanese For Everyone」→ 教科書体
・The Japan Times の「Modern Japanese」→ 教科書体
といった具合です。
教科書体と明朝体を用いたものは、「書き」と「読み」の両方を考慮した
なかなかうまいアイデアだと思います。教科書体のみを採用したものを
使う場合は、印刷物・パソコンの画面等で明朝体等の異なった字形の
書体が使われることもあることを説明し、それを読む練習をすることで
十分ケアーできると思われます。
ここで問題となってくるのは、明朝体のみを採用したものでしょう。
このタイプの教科書を使う場合は、教える側がかなり気をつけていないと
それに引きずられてしまう可能性があるように思います。
これが独習者の場合は、適切な「かな教材」と出あわれることをただただ
祈るばかりです。(^-^;)
それがため、私は学友会の「日本語」にあまりいい印象を抱いていないの
ですね。(練習帳やテスト問題に参考になる部分がけっこうありますが)
某日本語学校なんぞはこのテキストをめぐり、学内がてんやわんや。
労使問題にまで発展して『教職員組合』ができるきっかけの一つとなった
ほどです! (^_^)
長文、失礼いたしました。
あまりに長すぎ、自分のWeb に載せた方がよかったのかも. . .
載せたりして. . . (^_^;;;)
草 々
[1998/04/01 04:20:26]