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ことばや教え方の質問箱−掲示板2−
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No.471  形態面をくみこんだモデル
発言者: きんちょ
発言日: 01/06/02(Sat) 21:57
 Oyanagiさん、あたらしい かきこみ、(上)(下)とも拝見しました。
 スレッドが ふかくなってしまうので、(上)のほうに返信します。

 実は(442)「形態面から きめにかかると…」をかいたときから とても気になっていたのですが、あそこでの整理は、やはり乱暴なところが ありそうですね。野田 春美さんの説に もとづいたフローチャートは したのようですが、

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
述語が動詞 Yes→前提がある Yes→「のだ」必要
               No→「のだ」不要

       No→状況・文脈との関連づけがある
               Yes→「のだ」必要
               No→「のだ」不要
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

わたしは、つぎのように かきかえてみたいのです。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

・状況・文脈との関連づけがある
  Yes→ ・理由づけ/定義づけ
         Yes→「のだ」必要
         No →「のだ」必要(感情的要素)
  No → ・述語が動詞
         Yes→ ・前提がある☆
                Yes→「のだ」必要
                No →「のだ」不要
          No →「のだ」不要
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

状況・文脈と関連づけが おこなわれているときに「のだ」が つくことについては、動詞文も非動詞文も ちがいは ないと おもうからです。(おおくの教師用・学習者用の説明も、そうなっていますよね。)

で、そのうえでなんですが、Oyanagiさんの(469)(470)は、うえの図で「☆」をつけたところ、つまり「前提」の あるなしの判断と おおきく かかわっていると おもいます。


 (442)では、わたしは 『日本語文法ハンドブック』に忠実に、これについて、つぎのように かきました。

| ------------------------------------------
|  ここでいう「前提」をふくむ構文は、動詞疑問
| 文で
|
| ・疑問詞が ふくまれているとき
|  (疑問詞の部分が「焦点」で、それ以外が
|   「前提」と解釈される)
| ・必須補語以外の成分があるとき
|  (必須成分で構成される部分が「前提」と
|   なり、それ以外が「焦点」と解釈される)
| ・必須補語であっても、そこにプロミネンスが
|  おかれるとき
|  (プロミネンスがある部分が「焦点」となる)
|
| の3つの ばあいに生じるということです。これ
| らの ばあいには、「〜んですか」が自然だと
| いうことですね。
| -----------------------------------------


でも、例の「教室場面」をふくめ、これに あてはまならい例は たくさんあります。第2項目と第3項目に関していうと、わたしなどは、プロミネンスが おかれると「〜んです」と共起するというよりは、かえって、プロミネンスが おかれると、必須でない補語が あっても「〜んです」が なくても自然になるような気がして、そのことのほうに注意が むいていました。

 例)  ……《 》は音声的な強調……
   ○ 田中さんは《『タイタニック』を》見たのですか?
   ※ 田中さんは 『タイタニック』を 見たのですか? 
   ○ 田中さんは 『タイタニック』を 見ましたか?
   × 田中さんは 彼女と『タイタニック』を見ましたか?
   ○ 田中さんは 彼女と『タイタニック』を見たんですか?
   ○ 田中さんは《彼女と》『タイタニック』を見ましたか?
        「※」は、非文か、感情的要素の つよい文
        「×」は、非文か、つたなく きこえる文

そして、Oyanagiさんの あたらしい論考と ぶつかるのが、第1項目だと おもうんです。「☆」をつけた「前提」のある動詞文というのは、Oyanagiさんの整理だと、
 A:設定される課題:<提示されたことに不足してる情報>
の<課題>が、[状況・文脈]ではなくて、その文の[内部]に くみこまれている(442参照)ものではないかと おもうのですが、それが機能しないときに、「どうしたらいいんですか」が 感情的な要素をおびると おもうんですね。で、それが「機能しない理由」をかんがえてみました。

 これについて、すでに わたしは(442)で、教師が学生に たずねる「この漢字は、なんと よみますか」について、

| 教師が こたえをしっていて質問している
| のだということが、教師にも 学生にも
| 了解されていることが 関係していると
| かんがえます。

と みとおしをたてました。つまり、疑問文での疑問が さまざまな理由で形式化されていくと、「前提−焦点」という構造が くずれてきて、うえの第1項めが あてはまらなくなると おもうんですね。「どうしたらいいんですか」に関しては、つぎの点が、うえの第1項めが あてはまりにくくしているのではないかと おもいます。

・「〜タらいいか」の「いい」は本来の「いいか/わるいか」という意味をうしなって、形式化した質問になっている。(「〜タらいいんですか」と きかず、「〜タらいいですか」と 質問したとしても、「はい、いいです/いいえ、よくありません」と こたえるようなことはない。)

そして、「☆」の ところで「Yes」の解釈をうけられないために、「どうしたらいいんですか」は、[状況・文脈]との関連づけに意味解釈をゆだねようとするのだけれども、そこでも、

・はなして自身の行動について質問している。

という意味が、
A 設定される課題:<提示されたことに不足してる情報>
B 設定される課題:<提示されたことの解釈>
での関連づけをむずかしくしてしまい、結局、感情的な要素との関連づけをうながすのではないか(ここのところは、Oyanagiさんと おなじです)と、おもうわけです。

 ということで、さきほどのフローチャートを こんどは「〜んです」文の解釈のフローチャートに かきかえてみると、つぎのようになります。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
・動詞が述語
  Yes→・「前提」がある
      Yes→文の内部要素への関連づけ[A]
      No →・外部の状況や文脈との因果関係
          Yes→理由づけ[A]
          No →・既知の状況や文脈との関連
             Yes→解釈付け[B]
             No →感情的要素
  No →・外部の状況や文脈との因果関係
      Yes→理由づけ[A]
      No →・既知の状況・文脈との関連づけ
         Yes→解釈付け[B]
         No →感情的要素
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

Oyanagiさんの認知論的な説明に形態面の てがかりをくみこんだモデルとして つくってみた つもりなのですが、いかがでしょうか。
akizuki.pr.co.kr/
▼関連発言

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 ││  │   └443:Re: 少しだけお答えします Sakananome 01/05/30(Wed)
 ││  │    ├444:ここが違いですね。 01/05/30(Wed)
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 ││  │ └428:「んです」は教えられない? Sakananome 01/05/29(Tue)
 ││  │  └433:私はこのへんで失礼します Oyanagi 01/05/29(Tue)
 ││  └419:Re: 「んです」の基本的な働き きんちょ 01/05/28(Mon)
 ││   └425:「なんて よむんですか」について きんちょ 01/05/29(Tue)
 │└393:むしろ過剰な使用が問題 きんちょ 01/05/26(Sat)
 │ └414:Re: むしろ過剰な使用が問題 Sakananome 01/05/28(Mon)
 │  └420:Re^2: むしろ過剰な使用が問題 きんちょ 01/05/28(Mon)
 └442:形態面から きめにかかると… きんちょ 01/05/30(Wed)
  └457:Re: 形態面から きめにかかると… かおりん 01/06/01(Fri)


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