つぶやき会議室

つぶやきなのに、会議室です。会議室ですが、つぶやきます。

1998/06/17(02:21) from 164.124.67.143
作成者 : きんちょ (AKIZUKI@chollian.net) アクセス回数 : 57 , 行数 : 241
Re^2: 労働力動員と慰安婦徴集での強制連行
 スグルさん、再度の投稿ありがとうございました。

 わたしの 気がつかなかったことへの指摘もあり、拝読し
て、わたしの自由主義史観をなのる かちたちの かんがえ
への理解が多少 ふかまった面もあります。

 そのなかの ひとつに、「自由主義史観」の ひとたちの
おおくが、朝鮮人男性の強制連行を「奴隷がり」のようにイ
メージしている(か、あるいは、従来の日本や韓国での教育
現場での認識がそうであるとイメージしている)らしいとい
うことは、あたらしい発見でした。

 さて。議論をどちらがとりちがえたか、非難しあっても、
あまり生産的ではありませんが、わたしは、最初の文章のと
きから、「狭義の強制連行」と「広義の強制連行」とはなに
かということについて、説明するのだと いっているはずで
す。この、「狭義」と「広義」のちがいに即してかんがえた
ら、慰安婦問題もそれ以外の強制連行も、実態は「おなじよ
うなもの」だろうと かいたことが、どうして「とてもそう
取ることは出来ない、読み手に対して誤解を招く可能性がき
わめて高い」などと いわれるのか、理解にくるしみます。
 わたしも、スグルさんが問題にしたいところが別にあるの
は、わかりますが、このように もともとわたしがかいたと
ころにスグルさんの反論がきたのですから、まずは、自分の
論点について説明しなおさないと、自分の主張したことにつ
いて「読み手に対して誤解を招く」とおもったのです。
 
 軍の関与のありかたと、日本政府に責任があるなしの議論
については、あとのほうで別に論じていますし、反論に対す
る回答は、別稿でかきますので、それをみてください。前回
のわたしの 投稿のほかの部分に対して、

    その部分を留保して「背後で軍が糸を引いていた」
    という都合のいい解釈を披露することは「日本軍=
    悪」という印象を与えるだけのイメージ操作にすぎ
    ません。

と、お書きになった部分についても同様です。


 それでは、男性の場合と、このまえは ふれなかったけれ
ども女子勤労挺身隊の場合、それから「慰安婦」の場合と、
「強制連行」の意味がちがっているかどうか という点に集
中して議論しますが、スグルさんの理解だと、従来「慰安婦」
以外でも「奴隷がり」のイメージがつよく、それだから い
っしょにしてはいけないと いうことですね。わたしは、も
ともと、「強制連行」とは、「法律や公の命令に直接の根拠
をおかないけれども総督府などの日本の公権力がふかく関与
した強制的な徴集のこと」だと かんがえるので、このいい
かたで両者をよぶのは 適当だという かんがえです。

 スグルさんのいう「奴隷がり」は、スグルさんが引用した、
大坂書籍『中学社会(歴史的分野)』の部分(これは囲み記
事のようですね)のような ことをさすようです。そして、
そのようなイメージで「慰安婦」の徴集をかたるのはまちが
いだという主張だとおもいます。
 しかし、この教科書にのせられた証言とおなじような証言
は、「慰安婦」の場合にも存在します。

  町を歩いてる者や、田んぼで仕事をしている者など手当
 りしだい、役に立ちそうな人はかたっぱしから、そのまま
 トラックに乗せて

と ありますが、証言によれば、おなじように、道路であそ
んでいたり、野原ではなをつんでいたりしていた少女が、そ
のまま、家族にあいさつをする間もなく つれていかれてい
ます。ちがうといえば、「かたっぱしから、そのままトラッ
クに乗せて」という部分が、一度に何人もトラックにのせた
ように きこえるけれども、「慰安婦」の場合には、たぶん
ひとりずつ さらっていって、最初につれていったさきで、
人数がそろうまで監禁したということ、あるいは、「慰安婦」
の場合は“だまし”によるものが おおかったけれども、男
性の徴発のばあいは権力を背景にした圧迫が おおかったと
いうことぐらいでしょうか。

 このような事例があったのだろうということも、その一方
で「軍隊がむらに はいっていって、銃をつきつけて、少女
をさらっていった」というようなことが なかったか とて
も すくなかっただろうということも、両者で一致していま
す。だから、両者は「おなじようなもの」だとかいたのです。
 (この『朝鮮人強制連行の記録』から教科書にのった証言
  でも、軍は登場していませんね。かりあつめをしたのは、
  朝鮮人の役人や、やとわれヤクザのような存在だったか
  もしれません。それに、この証言でも、むきだしの暴力
  で抵抗をおさえつけて連行したとは、いっていません。
  「慰安婦」でこのような場合には、事例がなかったとは
  いいがたい、「広義」の強制連行ではないでしょうか。)

 もし、これを「奴隷がり」と よぶのなら、わたしは「慰
安婦」の徴集も「奴隷がり」だったと いっていいと おも
います。そこには、

 1.法的手続きをふまずに、あつれられている
 2.“だまし”や権力を背景にした圧迫などの、強制がは
  たらいている
 3.いちど連行されたら、あとから抗議しても解放されな
  い

という特徴があるからです。わたしが「なかったか、とても
すくなかっただろう」とおもう「狭義の強制連行」というも
のは、この「奴隷がり」のなかでも、とくに、軍が直接のり
こんで、むきだしの暴力でおこなったような特殊なものだけ
です。そんな特殊なケースの有無を議論することよりも、う
えのような 性格の連行がされたことを中学生が認識するこ
とのほうが、何倍も大切だと おもいます。


 つぎに、

    徴用や徴兵はまさしく国家権力が「国民の義務」と
    して実施したものです。しかし慰安婦は徴用・徴兵
    とは違い、国家権力で集めたものではないという事、
    つまり「徴兵・徴用」と「慰安婦徴集」の両者は質
    が違う、「徴兵・徴用に対する軍の関与と慰安婦に
    対する軍の関与は内容からして別物」だ

という反論がありました。実際、うえの「奴隷がり」のよう
な連行は、徴用令や徴兵令が適用されていないときに おお
くおこったのであって、これらが適用されたときには「青紙」
「赤紙」一枚で自由に連行できるようになったわけです。で
すから、徴用令や徴兵令にもとづかない強制連行こそが、「
慰安婦」の徴集と質的に同一だということになるでしょう。
 そこでの軍の関与のしかたが、にているかどうかの議論は、
別稿にゆずります。


 
 つぎに、韓国での認識についてですが、結論からいうと、
強制連行を徴用・徴兵と同一視したり、「慰安婦」の徴集が
徴用令や徴兵令による動員とおなじように、法律や公の命令
に直接の根拠をおいていたというようなことは、かたられて
いないと おもいます。

 スグルさんの引用されたものについてコメントしますが、

    日帝は国家総動員法を公布し、16歳以上の女性は、
    国家のために我慢しながら仕事しなければならない
    という名目で、慰安婦の国家的使命がはじまった。
    (独立記念館「従軍慰安婦」VTRナレーションから)

は、たしかにかなり乱暴な説明だとおもいます。これでは、
国家総動員法と、「慰安婦」の関係がよくわかりませんね。
ただ、「国家総動員法」という法律はありましたが、これは、
具体的な「国民徴用令」「徴兵令」に根拠を与えるもので、
それらがまだ発動されていない段階でも強制連行ははじまっ
ていたことをかんがえると、これは単に背景を説明しただけ
だとかんがえるのが いいように おもいます。ただ、これ
には前後があるはずなので、今度、いったときに確認してこ
ようとおもいます。「国家的使命がはじまった」という日本
語も不可解ですし。

    韓国人が強制徴用され、鉱山か工場で働かされた。
    そして、強制徴兵制と学徒支援兵制度を実施した。
    そのため、韓国の青年・壮年が戦線で犠牲となった。
    このとき、女性も挺身隊という名前で日本軍の慰安
    婦として犠牲にされることもあった。
           (中学校「国史」国定教科書から)
 
ですが、これも、ちかいうちに入手するか、図書館にいって
しらべてみます。しかし、高校の教科書(韓国は国定なので
一種類です)がてもとにあるので、同様の部分を訳してみま
しょう。これは、96年につかわれたものです。

    また、わが民族は戦争に必要な食糧と各種物資を収
    奪され、わが民族の青年たちは、志願兵という名目、
    あるいは徴兵制と徴用制によって日本・中国・サハ
    リン・インドシナなどへ強制動員されて命をおとす
    一方、女性たちまでもが挺身隊という名目でつれさ
    らわれ犠牲になった    

ここでは徴兵制と徴用制をふくめて「強制動員」といってい
ますが、それときちんと区別して、「志願兵という名目」と
いう表現がつかわれています。ここで最後にかかれている女
性たちの「犠牲」とは、慰安婦にさせられたことだろうと想
像できますが、「挺身隊」に関しても「名目」とかかれてい
て、「女子挺身勤労令」が適用された女子勤労挺身隊員と、
「慰安婦」としての犠牲とは きりはなしていることがわか
ります。そこには、「挺身隊」と「慰安婦」の混同(「挺身
隊」の名目がなくても「慰安婦」にさせられた ひとが多数
であることを無視している)がありますが、「挺身隊」とい
うのが名目でしかなかったことも明記されており、徴兵令や
徴用令の適用のように、「慰安婦」を合法的かつ強制的に徴
発する法令があったという意味にはとれないのです。

 なお、韓国では、最近の新聞記事やテレビニュースなどを
みるかぎり、「慰安婦」のことをさすときには「ウィアンブ」
と、そのままいうように 変化しています。ただ、「慰安婦」
の徴集にあたって「挺身隊」という名目がつかわれたという
ことは、ひろく信じられているようです。これは、教育のた
めというよりは、戦後すぐからそういうことがあったようで、
一種の流言飛語が断片的な事実とむすびついて定着したのだ
ろうと、わたしはおもっています。おそらく、そういう事例
もあったのでしょう。当時、少女を強制的に連行する法的な
根拠になるものとしては「女子挺身勤労令」以外にみあたら
なかったのですから、なんらかの理由で連行にかかわった人
が官憲の了解を口にする必要が生じれば、それを名目につか
ったとしてもなんの不思議もないからです。だとしても、制
度的に存在した「女子勤労挺身隊」と「慰安婦」とは別のも
のだという認識は必要だとおもいますが。

 そういうわけで、韓国の「挺身隊」に対する認識には、わ
たしも疑問がありますが、だからといって、

    秋月さんの認識される「強制連行」は一般に日本や
    韓国で流通している「強制連行」の認識とはかなり
    かけ離れたものと言えるのではないでしょうか。

という指摘はあたらないと かんがえます。


 なお、

    僕はなぜ「実際の教科書の記述に"強制連行"とはか
    いていないじゃないか」などというおかしな反論が
    まかり通ってしまうのか全く理解できません。

というのは、へんです。すくなくとも、最初に「強制連行が
あったと かいてある」と いいだしたひとは、発言に責任
をもつべきだとおもいます。

    現在慰安婦の記述は朝鮮人の強制連行の一環として
    登場し、徴兵・徴用ともセットで教えられます。

そのとおりですが、セットで教えられることは、同一視して
いることとはちがうし、ここでいう「朝鮮人の強制連行」じ
たいが、当初から「広義」なのだから、かりに一環としてで
ていることが、慰安婦も強制連行されたという意味になると
しても、「教科書の慰安婦の記述は吉田証言をもとにしてい
る」という立論の前提は、なりたたないのです。

 今の歴史の教科書の記述には、わたしからみても証拠不十
分なことが けっこう断定的にかかれているとおもいますが、
こと慰安婦問題に関していえば、わたしがしるかぎり、どの
教科書もきわめて慎重で、いまではほとんどあらそいのない
範囲のことしか、かかれていないとおもいます。スグルさん
が指摘したような危惧は、記述が簡単すぎるからおこるので
あって、「朝鮮人の強制連行」であっても、もっとかけば、
いろいろな連行のされかたがあったことがわかりやすくなっ
たのではないでしょうか。


Copyright (c) 1998-2000 Nobreak Technologies, Inc.
If you have any suggestion, please mail to japan@nobreak.com